大井川にある島に行きたい

神尾弁天

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第1話 吾輩はである。名前は・・・


大井川にも、島がある。

静岡県内にある“川の中にある島”と言えば、安倍川の舟山が有名だ。
舟山
Google Map 航空写真より
ここは“元舟山神社境内”と書かれた石碑と 三角点(標高43.7m)がある立派な山だ。
安倍川の流れがうまく外れたり水量が少ない年には徒歩で行くことができるので、WEB上でも検索をかければ多くの記事を目にすることができる。

ここで冒頭の一文に戻ろう。
大井川にも、島がある。

大井川にある島
Google Map ストリートビューより

島田川根線こと県道64号を川根方面へ向かい、鵜網地区から川口発電所へ向かう途中で、写真のような景色を見ることができる。

私は小さい頃から、この何とも言えぬ不思議な場所に惹かれていた。
行ってみたい。
あそこには何があるのか、果たして何もないただの岩山なのか・・・。



とまあ そんな感じの出だしで始めてみたわけですが、つまりは大井川の中にある島に行ってみた、というお話です。
いやー、気になるでしょ?ここ。

大井川にある島
Google Map ストリートビューより

島田川根線を通勤に利用している方々なら、すぐに思いつくのではないでしょうか。
これを空から見ると・・・

ここ
Google Map 航空写真より

こんな感じ。
立派な島です!

で、肝心の この島の名前ですが・・・

【 神尾弁天島 】



…らしい。

というのも、まずここへの登頂チャレンジを行うに当たって色々と調べてみたわけですが、どうにも情報が見つからない。

どこ?
国土地理院 地図より

国土地理院の地図でもこんな表示。
公式な地形として登録されていないのは まあ仕方ないとしても、何かしらの紹介記事ぐらいないものか。

で、やっと見つかりました。
この島について紹介している資料が。
しかも写真付きで!
それがこちら。

Click!
大井川写真案内記 島田より日本南アルプスまで(昭和三年発行)より

はっきりと【神尾辨天島】と書かれています。(“辨”は“弁”の旧字体)
さすがに由来までは載っていませんが、これを名称として問題ないでしょう。
まあ、webでは全くヒットしませんけど…
写真の右手奥に見えるのが鵜網地区で、そのあたりから山肌に通っている一本の横線が、当時の島田川根線だと思われます。
ちなみに、この写真の紹介文がこちら。

大井川は急流ゆえに川中に島を止めない。全河中にその数は三〜四を出ないだろう。
中でもこの神尾の弁天は川の中央に有り、甚だ妙である。神尾の神が駿河に渡るために置いた飛石の様にも思われる。
写真案内記 日本南アルプスと大井川 復刻版(平成二十三年発行)より引用

甚だ妙ですよ。
というより、自分は“その数は三〜四を出ないだろう”って所が気になります。
ハッキリと“ここだけ”とは書いてないのね。
まあ当時はもっと他の場所にも島があったのかも・・・。
こちらの本は静岡県立中央図書館デジタルライブラリーで読むことができます。

で、自分は当初、昔の大井川の線形が下図のようだったんじゃあないか?と想像してたわけですが。

Click!
Google Map 航空写真より

発電所やダム建設の関係で、斜線部を削り取った結果がこの島なのでは?と。
しかし何故ここだけ残したのか?とか色々無理のある想像ではあったのですが、
上記の紹介写真で完全に否定されました。
ダムとか関係なく、それより昔からこの島は存在していたわけです。



そして、実は資料がもう一つ。
鳥瞰図絵師として有名な吉田初三郎が昭和6年に描いた大井川鐡道沿線名所図絵です。

Click!
吉田初三郎 大井川鐡道沿線名所図絵より

この絵にも例の島がハッキリ描かれています。
そこをよーく見ると…

【國替辨天】
と書いてありますねぇ。

うーん、これはどっちが正解なんだ?
しかも“〜島”とは書かれていないが・・・。

とりあえずこのレポートでは、地名が入っていてイメージが湧きやすいだろう、という安直な理由から “神尾弁天島”の呼称を使っていきますけども。
最終的に、正式な名称は判明するのでしょうか?

まあまあそんなわけで、この【神尾弁天島】に行ってみます!





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