現代に続く三弦の橋

万世橋

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第8話 一九七〇年の冬であった。


今回は【秋葉橋】の現地調査編をお届けです。

では、西雲名地区からスタート。
橋へのアプローチを辿ってみましょう。

雲名 Click!

場所はこの辺り。
天竜浜名湖鉄道 天竜二俣駅から約13km、車で20分ほどで目的地の西岸、西雲名(にしうんな)地区に行くことができます。
大井川方面からならば、昔の秋葉街道よろしく 川根本町瀬沢地区からFileNo.7で取り上げた境川隧道跡地を抜け、国道362・473号の重複区間を通るのが最短ルートとなります。
道路状況は…まあ…お察しです。
もしお急ぎならば、途中の【春野町領家】という地区にある同名の【秋葉橋】(こちらは気田川に架かる鉄橋で、なんと大正15(1926)年竣功!中路単純プラットトラス橋という これまた珍しい構造の橋です。)を渡るルートもあります。(上の地図のちょうど右上あたり)
この橋を渡って左へ折れ、秋葉神宮の下社前を通り過ぎて県道286号線“鮎釣東雲名春野線”を道なりに進むことで今回の【秋葉橋】の東口に行く事ができます。
できますが…道路状況はさらに過酷なので、通り抜けるには覚悟が必要です。

入り口 Click!

さて西雲名地区に話を戻して、分かり易い目印と言えばこの【横山トンネル】
開通は平成10(1998)年と、まだまだ新しい部類に入るトンネルです。
ここの分岐を左へ行くのが、それ以前に使われていた旧道ということになります。

この交差点には、秋葉橋から3番目に近い公共交通機関である
水窪タクシーの浜松市自主運行バス北遠本線 『秋葉橋入口』バス停
があります。
まずはここを左へ。
旧道に入ります。

入り口 Click!

入るとすぐに、右へ曲がっていく旧道と 少し直進してから右方向へ下がっていく細い道があります。
細い道を進んでいけば、秋葉橋に辿り着きます。

ここには秋葉橋から2番目に近いバス停
天竜ふれあいバス 門原線『秋葉山口』バス停
があります。
この路線はデマンド(事前予約)方式で、月・金曜日のみ運行とのこと。
少し調べてみた所によると、このバス路線は国鉄時代から形態を変えながら続いているのだとか。(国鉄バス天竜本線の東天竜線?)
すぐ横にある味わい深い待合所も、その頃から使われているようです。

秋葉橋

細い道を下っていくと、すぐに鉄製の真っ赤な主塔が見えてきます。

秋葉橋

秋葉橋 西側(右岸側)主塔。
引いて撮る事が難しいため なかなか全体を掴みづらいのですが、とにかく巨大です。

入り口 Click!

正面から対岸を。
背後には壁があるため、これ以上引いて撮る事が…。
で、橋を渡るには三つの制限をクリアしなければなりません。

・50ccよりも大型のバイクや自動車は通行不可。
・制限速度20km
・制限車高2m

さらには「強風時は通行注意〜不可」など、いかにも吊橋らしい看板が並んでいます。
また入口には車輛止めがあり、そのためか車重制限の看板は必要ないようです。

秋葉橋

主塔を下から見上げたところ。
可愛い感じの街灯がくっついていました。
主索が見えていますが、端はどうなっているのでしょうか?

入り口 Click!

というわけで少し順番が前後しますが、西側の主索の端がどうなっているのか、確認しておきます。
これは入口の交差点から旧道方向を見たところ。
バックステー(主塔の塔頂サドルからアンカレイジまでを直線で結ぶケーブル)は旧道の上を越え、山肌(横山トンネルの外面)に向かっています。
さらに近づいてみます。

入り口 Click!

こちらが、西側主索アンカレイジ

ごっついです。

左右5本づつの太いワイヤーで引いている事が分かります。
と言うか、アンカレイジには こうやって固定しているのだなぁ。
コンクリートの中がどうなっているのかまでは分かりませんが…。

では橋に戻り、まずは対岸まで渡ってみます。

秋葉橋

橋の上には落ち葉や泥が積もっていますが、それでも吊橋は どこを切り取っても画になります。

床板周りは木製
所々で腐って朽ちている部材も見られますが、その都度 補修が成されているようです。

秋葉橋

林の中を抜け、天竜川が近づいてきました。
中央部に近づくにつれ主索が下がってくる(サグ)ため、そのワイヤーを身近に見ることができます。

秋葉橋

主索と吊索の交点。

秋葉橋

率直な感想としては、「意外と揺れないなぁ。」
もっともこれは、あの久野脇橋に慣れてしまっているせいかもしれませんが…。

秋葉橋

ところどころでこのように床下が見えたりします。
橋の両側が頼りなさげな金網で出来ており 見晴らしが良過ぎる事も相まって、高所恐怖症の人にはキツイかもしれません。
この左右の金網は、秋葉橋となってから取り付けられたものです。

秋葉橋

上流を眺めると、冒頭で紹介した【雲名橋】の赤いトラスが見えます。
しかし残念なことに この日は濁流
『写真映えする景色』という紹介をするには惜しい川面となっています。
空と山のコントラストは良いのですけどね。
また、冒頭で紹介した【雲名橋】の入り口に通行禁止のA型バリケードが立っていたのは、前日の荒天により東雲名地区が被害を受けたためです。

秋葉橋

こちらが東口(左岸)上流側の耐風索
森に隠されて細部が見えず…。
かといって完全な崖の中腹にあるようで、近づくこともままなりません。

秋葉橋

こちらは下流側
これまた同様に、近づけません…。

秋葉橋

途中、A型バリケードが置いてあるので通行禁止だったのかと焦りましたが、これが理由でした。

秋葉橋

東口(左岸)に到着しました。
やっぱりデカい
主塔を潜って、陸側から橋を見てみます。

入り口 Click!

こちらもまた、3枚の制限看板。
西口と同じ内容です。
周囲を観察してみましょう。

正面 Click!

まずは橋を抜けて正面を。
左右に走る道は県道285号線 大輪天竜線。
川根本町方面からここへ来る際の説明でも登場した、県道286号線 鮎釣東雲名春野線との重複区間であるようです。
正面の看板にある“スーパー林道”とは、東雲名を起点として水窪ダム(天竜区水窪町)までの約53kmを結ぶ“天竜スーパー林道”の事。
全線が舗装されてはいるものの道幅は狭く、主にバイク乗りに人気のある路線です。

上流側 Click!

左の東雲名方面(天竜川上流方向)を見たところ。
正面に見えるトンネルには扁額がありますが…読めない。
(後の調査で、名称は『扇岩トンネル』、延長137m、幅員3m、竣工年は昭和31(1956)年と判明しました。)
車同士のすれ違いはできません。
20分にも満たないこの調査中にも数台の車が通過。
狭い道にもかかわらず、なかなかの交通量があります。

上流側 Click!

振り返って小川集落方面(天竜川下流・気田川方向)を見ます。
ここに見えるのは秋葉橋に最も近い公共交通機関である
天竜ふれあいバス 門原線『扇岩』バス停 です。

横に見える【天狗の里 はるの】 という看板は、お隣の春野町のもの。
春野文化センターの駐車場には、縦8m、横6m、鼻の高さ4mという超巨大な日本一の大天狗面があります。
秋葉山と天狗の関係はとても深く、書籍でもネット上でもたくさんの読み物があるので、調べてみると面白いですよ。

秋葉橋

さて、再び秋葉橋へと向きなおり、主塔の姿をなんとか収めてみます。
見ての通りバックステーは背後の山腹へそのまま突き刺さっています。
残念ながら、道路上からは どうにもその根元を目視する事は叶いません。

上流側 Click!

川の方へ眼を落すと、下流側耐風索アンカレイジがわずかに見えます。
もう少しハッキリと見たいのですが、さすがにここを下るのは危険です。

秋葉橋

橋台部分はこんな感じ。
先代の吊橋の頃からのものでしょうか?

上流側 Click!

このあたりで、何とか3代目万世橋を写したあの写真と 同じ構図がとれないものかと頑張ってみますが、あれはそもそも下から(河原から?)撮っているので どうにも不可能っぽい。

秋葉橋

主塔の脚の中に入って、見上げてみました。
上下の感覚がなくなる…。
吸い込まれそうな怖さがあります。

秋葉橋

最後に、【雲名橋】とのツーショット。
川が澄んでいれば、なお良かったのですが…。



さてさて、これにて一通り橋の周辺と上部分については見終えたので、西口へ戻ります。

そう、今回の最大の目的を果たしに。







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