民営森林鉄道の先駆け

智者山軌道

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第6話 ムハンマドが通りで空き缶を拾った。


今話は主に現地のレポートになります。
掲載している写真の縁取りが青ならば終点(土合)向き、橙色ならば起点(小長井)向きの振り返っての写真、と捉えてください。

レポート EP.6
智者山軌道

全体マップはこちらから。



前話の続きから。

智者山軌道
現在地

そこにあったのは、見渡す限りの崩壊面でした。
ただ木々の様子を見るに、どうやら現在進行形で崩れているわけではないようです。
崩れたのはかなり昔の事か。
いずれにせよ、もはや軌道跡がどうこう言うレベルではなくなってしまいました。

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唯一の救いは石垣が残っていたことでしょうか。
ここまでの軌道跡では、石垣は路盤を補強するために存在していました。
となれば この場面でも、石垣の上に軌道跡があった可能性が高い。

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現在地

というわけで石垣の上に出てみました。
そこにあったのは、いかにも軌道跡 “らしい” 平場。
前話からの繋がりを考えると 何とも信じがたい流れではありますが…。
とにかく今は、これを辿っていくしか道がありません。

智者山軌道

右手には相変わらず 旧静岡街道が並走しています。
ここでは街道と軌道跡とが1枚の面で繋がっていました。
どうやらこれが、この崩壊地形の安息角(これ以上 滑らない角度)ということらしい。

智者山軌道

そして左手はと言えば、ほぼ崖。
地図読みでも高低差30m以上あるでしょうか。
小長井河内川が遠く霞んで見えます。
もし万が一 落っこちるような事があれば…それなりの結果は免れないでしょう。

しかし、ご褒美 もあります。

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ここを進む者にしか見えない景色です。

山の春。

薄いピンク色の山桜が、霧にかすんで幻想的な姿を見せてくれました。
今回もまた、大きいサイズの写真を用意しましたよ。

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んで、周りの様子を見ながら歩くこと数分。
気が付けば至るところに石垣の残骸が…。

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もともとは長い一枚の擁壁を成していたであろう石垣が 土砂崩れと共に破壊され、そこら中に散在しているようなのです。
ん〜、どの石垣の位置が“正しい”のやら…。

まあ そうは言っても「土砂が流れる」という現象を考えれば、一番高い位置にある石垣が正解に近い…はず。
このまま進むしかありません。
それにしても、恐ろしい破壊エネルギー。

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現在地

石垣地帯を抜けましたが、まだ崩壊地形は続いています。
なんとなくルートがあるように見えますが、おそらくただの獣道。
あるいはインフラ整備の人か、自分のような探索者の踏み跡でしょう。

と、さらに進んだところで

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現在地

!!

あれか?!

写真だとちょっと見えづらいけど…。
おそらく、軌道跡で間違いない、はず。
上(右手)は急な崖で、下(左手)は相変わらず…

智者山軌道

川への直行便なので。

今、自分のいるライン以外は考えられないでしょう。

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現在地

よしよし、これはもう確実でしょ。

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現在地

復帰!

久しぶりの路盤です。

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現在地

と言っても 全体的に凸凹があったり、半分欠けていたりするわけですが。

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現在地

そして、安定。
軌道跡は静けさを取り戻しました。

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現在地

どうやら大きくルートを外れることなく、崩壊地を突破できたらしい。
まだまだ先は長いわけで、これから軌道跡はどうなっていくのか。

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現在地

ゆるやかにカーブを描きながら、軌道跡は登っていきます。

智者山軌道

途中で 碍子(がいし) のような部品を見つけたものの、どうも新しすぎる。
本件とは無関係っぽい。

智者山軌道の通常運行が何往復する設定だったのかは分かっていませんが、トロを引き上げる機関車は一台だけ。
となると通信(電信)設備が無くとも運用は可能だったはずなので、そもそも そんなものは設置されていなかった可能性が高いかな、と。

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現在地

尾根状の地形に差し掛かったところで、急激に上り始めました。
ん〜、これはちょっと良くない傾向なんだけど…。

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現在地

どうやらこの急勾配は、先端に転がっていた 大岩を超えるための足掛かりだったらしい。
『軌道跡が』ではなく、『後年の歩行ルートが』こうなっていただけだと思われます。

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現在地

大岩を超えると、一転して元の平穏な軌道跡に戻りました。
綺麗な路盤、とは言い難いですけど。

そして、この先には…。

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現在地

!!

切通し!

駆けつけたい気持ちを抑えて、まずはその手前にある石垣を見落としてはいけない。

智者山軌道

どうよ?!
いい眺めじゃあないの!
「これを見に来た!」と言っても過言ではないでしょう。

歩行者のためのルートなら山を巻いていけばいいし、車道のためであるなら これでは狭すぎる。
この先の切通しとセットで、「正に軌道跡!」と言わんばかりの仕事です。

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現在地

そして、近くへ。
非常に綺麗に残っています。

この工事が行われたのは、今から約100年前の事。
どのような工法だったのでしょうかね。

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現在地

幅がとても広い。
長い木材を通すには これくらい必要だった、という事なんでしょうか。

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現在地

再び前を向くと、綺麗な軌道跡が戻ってきました。
このまま続いてくれるとうれしいのですが…。

次話へ!


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探索!ウラ話


今回の探索行では、とにかく大量のゴミを見ました。
昭和の時代の明らかな不法投棄モノや資材に家電、中には大人向けデジタル多用途ディスクなんて物も。

んで、特に多かったゴミが 空き缶

かなりの量でした。
それこそ新旧入り乱れていて、誰が?いつ?持ち込んだものなのか…。

そんなわけで、気の向くままに撮影した写真を いくつか載せてみます。
この缶、見たことありますか?

古缶1

@ダイドーのグレープフルーツジュース?
 表記が【DAIDO】となっていました。


古缶2

Aダイドーのスポーツエネルギー?
 自分も飲んだ事があるようなないような…。
 「スポエネ」と略して呼ばれていたはず。


古缶3

Bダイドーの?
 このデザインには見覚えがあるんだけどなー。


古缶4

C?? 全く不明。
写真もこの一枚しか…。


古缶5

DKING○○のレモン○○?
 最初はキリンの商品かと思いましたが、よく見るとKING○○?