民営森林鉄道の先駆け

智者山軌道

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第9話 それまで僕は空を見たことがなかった。 〜後編〜


今話は主に現地のレポートになります。
掲載している写真の縁取りが青ならば終点(度合)向き、橙色ならば起点(小長井)向きの振り返っての写真、と捉えてください。

レポート EP.9
智者山軌道

全体マップはこちらから。



智者山軌道

なんとなんと、静岡県の用地杭!
県の用地との境界線を示すものですが、これは旧川根東街道由来のもの、と考えるべきでしょう。
(ここが本来あるべき位置なのかは わかりませんが…。)

で、この用地杭、よく見ると…。

智者山軌道

旧字体!

岡県ではなく岡県となっているじゃあないですか。

自分はまだ こういったジャンルについて詳しく調べる術を持っていないのですが、いつ頃から現在の静岡県表記に切り替わったんでしょうかね?

ちなみにFileNo.10の境川橋の時に発見した用地杭
は、しっかりとの字でした。

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現在地

さて用地杭を過ぎると、ご覧の通り(一応は)綺麗な軌道跡が。
土砂によって埋められ本来の幅を確保できていませんが、辿れるだけマシというもんです。

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現在地

直線的に登っていきます。

それにしても…晴れっていいなぁ!!

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現在地

またもや尾根状の地形を越えます。
ここまで、「良くない事」は だいたいこういう地点を越えた直後に起こっているわけですが…。

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現在地

覚悟を決めるため、一度 振り返っておこう。
やはり鉄道らしからぬ急勾配です。

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現在地

いよいよ、あと少しで廻り込める、というポイント。
ああ…向こう側が やけに白いよ…。
こういう場合は大抵…

智者山軌道
現在地

こうなるよね…。

またハデに崩れたもんだ。
行けるのか?これ。
落ちたら…まあ…アレだ。

…。

智者山軌道
現在地

まあ、行くけど。

これまでもそうでしたが、崩落自体は かなり昔のもの。
地面は固く締まり、安定しているからこそ踏破が可能だったのです。

そして この崩壊地を突破した後。
軌道跡らしき場所を求めて上へ下へと奔走したのですが、どうにもハッキリしない…。

智者山軌道 Click!
現在地

この「上へ下へ」という表現ですが、実は何の語弊もありませんで。
後ろを振り向けば今突破してきたばかりの崖があるし、先へ進もうにも

智者山軌道
現在地

全く行き場がない。

もはやこれまでか…。
この崖は これまでの比じゃあありません。
ほぼ垂直に切れ落ちていて、軌道跡の面影を想像する事など不可能なレベル。
どうやってこの先へ繋いでいたというのか…。

智者山軌道
現在地

とうとう軌道跡を完全に見失ってしまった。
どうにもならないので、今は旧川根東街道へエスケープするより他に手がありません。
急ではありますが、幸いな事に登れない斜面ではない。

智者山軌道
現在地

脱出。

で、ここは…どこだ?

そんな感じで、
次話へ!


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探索!ウラ話


さて。

ヒルの猛攻に遭い、初日からメンタルに大ダメージを追った調査員。
一時は「探索中止」というキーワードが脳裏に浮かぶほど凹みましたが…。
しかし既にレポートにあるように、ちゃんと2日目(翌日)も探索をこなしたわけで。
いったい、彼はどうやって立ち直ったのか?

結論から言うと、それは「カガクのチカラ」によるもの。
彼はヒル用の忌避剤がある事を知っていたのだ。

人間として、ヒルに負けてなるものか。

だが忌避剤の存在自体は知っていたものの、自分がそれを入手する姿など 想像もしていなかったわけで。
情けない事に、「次の探索には それを装備して…」という考えに思い至ったのは夜も更けてから。
既に店舗は締まっているし、ネット購入など絶望的。
そう、次の探索予定日は翌日なのだ。
…どうする?

そこで急ぎ検索したのは、「代用品」について。
無いものは作ればいいじゃあないか。

検索結果として まず出てきたのが「食塩水」
これだ。
これなら簡単に用意できる。
(*後日の調査によれば、忌避剤の代用としての食塩水は そこまで有能ではないらしい。
  濃度についても、20%が良いとするもの、飽和するくらいが良いとするものなど様々。
  他に有効なものとしては、食器用洗剤、ハッカ油、消毒用エタノールなどが見つかった。)

作戦はこう。
長靴+カッパ装備とし、カッパの裾に隙間が空かないよう養生テープでグルグル巻きにする。
簡易な胴長のイメージだ。
そして食塩水を入れた霧吹きボトルを用意し、下半身に絶えず塩水を吹き掛けながら進む。
そうすれば奴らも上がっては来れまい。
(*これも後日調べですが、足首にタオルなどを巻き 忌避剤を染み込ませておくのが常道らしいです。)

そして翌日。
探索2日目。
果たして効果の程は?

2日目の結果。

0匹

良し!!
効果アリ、だ。たぶん。
強力な武器を手に入れた。

まだ戦える。



撤収作業中に、一匹の山ヒルを見つけた。
これは好機だ。

試しにそのヒルに食塩水シャワーを直撃してみた…。

……?
特に変化は…ない…。

あ、落ちた。

ナメクジに塩を掛けた時のように暴れながら縮んで絶命する姿を想像したのだが…?
特に外観に変化は見られず、そのまま静かに落ちたのだった。



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